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クサガメさんの卵管脱

2019.12.15.17:10

こんにちは獣医師の長尾です。
今回はクサガメさんの卵管脱についてです!
(爬虫類の記事が続いておりますが圧倒的に哺乳類・鳥類の診察の方が多いですのでそろそろ爬虫類以外の記事も載せたいと思います)

今回は、ノコちゃん、クサガメさんの女の子です。

お尻から赤いものが出ているとのことでいらっしゃいました。
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お尻から出るものは卵管以外にも腸や膀胱など様々ですが、特徴的な見た目、お腹の中に卵が触れる&最近卵を産んでいた、などから卵管脱を疑いました。卵管脱は卵や卵胞などが形成・発達することと関連して発生することがほとんどです

カメさんの卵管脱は、飛び出た卵管を中に押し戻す治療が功を奏することはほとんどなく、総排泄孔内で卵管は少しづつ壊死をしていってしまいます。そのため外科的治療にて、卵管摘出(卵巣も)することが第一選択となります。

ノコちゃんも手術による治療が早急に必要と考え、手術をすることとなりました。
甲羅を開ける(開甲手術)か迷いましたが、開甲手術の負担を考え後肢の付け根から手術をすることにしました。
開口手術よりも後肢の付け根の手術は視野が狭く大変ですが、クサガメさんは比較的この部位が広いため手術可能と考えました。
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挿管をして人工呼吸を始め心電図を取り付けます!

手術を開始してみると、
 ・お腹の中の本来あるべき場所ではないところに未熟な卵がある(卵墜)
 ・その影響で腹膜炎を起こしている
 ・腹膜炎で膀胱がほかの臓器と癒着している
 ・膀胱内に卵がある
などいろいろトラブルはありましたが無事手術は終わりました。

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摘出した卵巣と卵管です。左上の黄色いものが卵墜を起こしていたもので、右下の丸いものが飛び出ていた卵管の一部です。
卵巣は少しでも取り残してしまうとまた発達してしまうため残さず摘出することが大切です。

膀胱を切ったり、腹膜炎をおこしていたりで術後経過が心配でしたが、、、

手術して1カ月、食欲も戻りとっても元気になりました

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カメラ目線がとっても可愛いノコちゃんでした

小さい体で本当によく頑張ってくれました!!

トッケイヤモリのコブ

2019.11.26.19:04

こんばんは。獣医師の長尾です。
久しぶりの更新になってしまいました。

またしても、爬虫類の症例です。

今回はトッケイヤモリさんです。私自身も昔はトッケイヤモリをいっぱい飼っていました。
やや気が荒いのですが、そこがまたいいところで、色合いもとてもキレイなヤモリですまた夜中に大きな声で「トッケイ!」と鳴くところも大変可愛いヤモリですね。
最近のCITES会議で格上げされため産地によっては今後流通が減ると思われます。


患者さんはトッケイヤモリのパターンレス。
脇の下が腫れてきたとのことで来院されました。
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飼い主さんよく気づきましたが、なにやら脇の皮膚の下にしこりが認められます。

エコー検査で少し水が溜まっていました。
これは?もしかして・・・

ということで、その場で局所麻酔にて切開させていただきました。

すると・・・
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紐のようなものが・・・。

そう寄生虫です

そのまま寄生虫の権威である酪農学園大学の浅川教授の研究施設に調べていただき、条虫のプレロセルコイドと診断されました!!

人ではあまり考えたくはないですが、エキゾチック動物(特に爬虫類)ではまだまだ寄生虫の疾患は多く存在します。
新しい動物さんをお迎えしたらよく観察する&病院で便検査など健診をお勧め致します。

コーンスネークの卵塞

2019.08.06.19:06

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こんばんは。獣医師の長尾です。

爬虫類の記事が続きますが、今回はコーンスネーク(ブリザード)さんのノンナちゃんです。

初めての産卵ですが、卵をいくつか産んだあとから残りの卵が出なくなったとのことで来院されました。

初めての来院の日、待合室で何やらゴソゴソしているとのことで、飼い主様がのぞいてみたところ待合室で産卵!
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おそらく移動の刺激で産んだのでしょう。残りの卵も排泄孔近くまで降りてきたため、そのまま残りを産むかもということでその日はお家に帰りました。

しかし、その後、残りの卵を産まず、産卵の兆しがないため再来院されました。
総排泄孔から器具を入れて覗いてみると卵のはじっこが見えます。ただ、卵の表面に石灰沈着もありそうで、このままでは放置すると卵管との癒着を起こすなどの可能性も考えられたため、潤滑剤を卵管内にいれて圧迫をして産ませることになりました。

最初はいきむ感じも全くなかったですが優しく力を入れていくと、途中から・・・
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お腹に力を入れてくれて、
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無事産まれました!

さらに残りの卵もすべて出てくれました!

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頑張ってくれました!!

ヘビさんの難産・卵塞にはさまざまな原因があり、因果関係を証明することは難しいことが多いです。
卵塞を起こしてしまった場合、
 注射にて様子をみる。
 今回のように圧迫で出す。
 経皮的に針を刺し中身を吸引する。
 外科的に開腹する。
などいろいろ方法があります。
圧迫は簡単な方法ですが、卵管と卵が癒着していて卵管破裂を起こすなど致命的になることもあるため安易に自宅ですることはお勧め致しません。

産卵に関して異常があった場合は爬虫類を診察している病院にまずはかかられることをお勧めいたします。

more...

イグアナの膿瘍

2019.08.04.19:16

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獣医師の長尾です。
今日はグリーンイグアナさんの膿瘍です。

患者さんはミントンちゃん!いっぱいイグアナさんを飼われているお家です!
いっぱい仲間がいるので発情期は喧嘩をしてしまい怪我が増えてしまいます。(;_;)

イグアナさんの皮膚は再生能力が高いため、引っ掻き傷や咬み傷ができると皮膚はすぐに再生しますが,、それが逆に仇となって細菌が皮膚の下にとじこめられてしまい化膿して、膿瘍(膿の袋)ができやすくなってしまいます。

爬虫類の膿はとても硬く、排出されないため、この膿瘍が周囲の筋・骨・関節などに悪影響を及ぼすこともあります。また場所によっては指などの血行が悪くなり壊死してしまうこともあります。

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ミントンちゃんは同居のイグアナさんに咬まれたのか傷ができてしまい、しばらくして膿瘍ができてしまったとのことでした。
時間がたってしまって硬くなっていたため局所麻酔にて皮膚切開をして膿を出しました!

ミントンちゃんはとてもいい子なのでおとなしく頑張ってくれました!

膿瘍から出てきた膿です。とても硬いです。
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この傷はすぐにふさがってしまうため、一部開いたままにしておきましたが、2週間後やはりすぐにふさがってしまったため、再度切開をしました。菌がいなくなるまでは傷は開いておいたほうが良いのです。

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1か月後、何とか膿は無くなりました!皮膚は余ってしまい少しブヨブヨしています。何度か脱皮をしたらよくなっていくと思います。

膿はなくなりましたがなんだか膿瘍のあった下が硬くなっています!
そのためレントゲンを撮ってみたところ、膿瘍の近くの関節が関節炎を起こして変形してしまっていました。
長期的な膿瘍の影響で関節炎を起こしてしまったと思われます。

正常な足です。
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膿瘍の方です。(黄色〇)
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関節炎は基本的に治すことはできませんが、ここがまたひどい炎症を起こすと場合によっては指をとることになります。
おそらくここの炎症は今は落ち着いていると思われるので、ここからは経過観察していきます。腫れてくるようなら針をさして細菌の培養検査なども必要となります。

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頑張ってくれました!ややご機嫌斜めになってしましました(;д;)

お疲れさまでした。みんな仲良くできるといいのですが発情期はどうしても気が荒くなってしますね。

爬虫類・両生類の診察(手術写真が含まれます)

2019.05.02.12:13

獣医師の長尾です。
ミニペットクリニックでは、ウサギ、ハムスター、モルモット、小鳥、ハリネズミ、フクロモモンガ、フェレット、ラット・マウス・・・など哺乳類・鳥類の診察がメインになっておりますが、爬虫類・両生類の診察も受け付けております。

爬虫類の診察ではカメさんが多くを占めております。

これからの時期、女の子のカメさんは発情をしてくる時期になります。
昨年も夏にかけて、水棲ガメの卵詰りの症例が多く認められました。

卵詰まり(卵塞)とは、卵がうまく産卵されない状態のことをいいます。
オスがいなくても卵が作られることは多く、うまく産卵してくれれば問題はないのですが様々な原因で産卵がうまくできなくなってしまうことがあります。放っておくと場合によっては命を落とすこともあるため、長期的に食欲が落ち着ている子は診察をお勧めします。

治療が必要な場合、注射にて産卵を促進させたり手術をすることもあります。
手術は甲羅をあけたり、足の付け根から卵巣や卵管・卵を摘出します。

甲羅を開けたり、
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後肢の付け根から切ったりします。
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予約制となっておりますのでお電話にてお問い合わせいただいてから来院をお願いします。
また土日祝日のご予約は約1週間前には埋まっていることが多いため早めのご予約をお勧めいたします。
プロフィール

ミニペットクリニック

Author:ミニペットクリニック
埼玉県川口市にあるエキゾチックアニマル専門の動物病院
“ミニペットクリニック”と申します。

ウサギさんはもちろん、ハリネズミさんや爬虫類さんも診察しております。
※対象外となる動物さんにつきましてはお問い合わせください。

ブログでは、日々の出来事や病院の情報、豆知識など、
病院スタッフが綴っていきますので、お暇なときに覗いてみてください^^
どうぞよろしくお願い致します!

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