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ハリネズミさんの子宮・卵巣疾患について(手術写真が含まれます)

2020.12.21.09:05

こんにちは。獣医師の川合です。
今回はハリネズミさんの子宮・卵巣疾患についてです。

ウサギさんでの子宮疾患に関しては良く知られるようになってきていますが、他の動物種でも子宮や卵巣の病気は多いです。
女の子で血尿があった場合は、子宮・卵巣疾患の可能性が考えられます(結石や膀胱炎等でも血尿が出ることがあります。)。

ハリネズミのぴのちゃん(3歳)は、もともと消化器疾患があり、通院されていました。

ある日、突然血尿が始まり、超音波検査にて子宮・卵巣疾患が疑われたため、試験的開腹という形で手術を行いました。
なお消化器疾患に関して、抗炎症薬で症状は落ち着いていたものの、原因不明だったため、検査のため腸の一部も手術時に採取しました(組織生検といいます)。


こちらが手術で摘出された子宮・卵巣です。左の卵巣が著しく腫大していました。(中心の赤黒くなっている部分が左の卵巣で、右側のピンク色のY字状の部分が子宮です。)
pino1.jpg


こちらは手術後のぴのちゃんです。麻酔からは順調に覚め、手術当日からご飯を食べてくれました。
pino2.jpg
pino3.jpg

ぴのちゃんは小さい身体で手術を良く頑張ってくれました!

なお、病理検査の結果、卵巣は「顆粒膜細胞腫」という低悪性度の腫瘍でした。
組織生検を行った小腸に関しては、「軽度の慢性腸炎」という結果で、腫瘍性変化や感染性の病原体は見つからなかったので一安心です。

卵巣に関しては、腫瘍が完全切除されているため治療は一旦終了となり、今後は念のための経過チェックを定期的に行います。
小腸については、今後も抗炎症薬を中心に内服薬で治療を継続していきます。

うさぎさんの腫瘍(手術写真が含まれます)

2020.10.21.12:08

こんにちは。獣医師の川合です。
今回はうさぎさんの乳腺腫瘍と子宮腺癌の摘出手術について記載します。

コロわんちゃんは、下腹部の膨らみを主訴に来院されました。
コロわん

まず超音波検査において、下腹部の皮下に嚢胞状の膨らみがあり、内部に液体貯留が認められました。そこで穿刺して貯留液を抜き、貯留液の検査を行いました。こちらは乳腺由来の腫瘍の可能性が考えられました。

また、超音波検査にて子宮の腫大も疑われました。


そこで、手術にて下腹部皮下の嚢胞と、同時に子宮・卵巣の摘出を行いました。

こちらは、摘出後の嚢胞です。
コロわん2

こちらは子宮を摘出しているところです。全体的に腫大し、一部白く変色しています。
コロわん3 (2)

病理検査の結果、嚢胞は乳腺の嚢胞乳頭状腺癌、子宮は子宮腺癌という結果でした。どちらも悪性腫瘍ではありましたが、無事に完全切除されていました。

コロわんちゃんは7歳過ぎの高齢の子ながら、頑張って大きな手術を乗り越えてくれました!
こちらは手術後のコロわんちゃんです。
コロわん4

うさぎさんの骨折

2020.09.10.16:38

こんにちは。獣医師の川合です。
今日はうさぎさんの骨折の整復についてです🐇

チャチャちゃんは、大きな音に驚いてケージ内で跳びはねた際に、後肢の骨を骨折してしまいました。
こちらが、手術前のレントゲン写真です。
chacha6.jpg


手術では、まず折れた骨同士をつなぎ合わせ、中にピンを入れました(髄内ピンといいます)。さらに、ねじれを防ぐために外側からも角度を変えてピンを入れました(創外固定といいます)。
chacha3.jpg

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術後は自宅でしばらく内服薬を使用しつつ安静にしてもらい、定期的にレントゲン検査にて骨の様子を確認しました。
無事に骨が癒合したので、後日ピンを抜くことができました。
chacha2.jpg


なお、女の子なので今後の子宮疾患のリスクを考え、抜ピンの手術の際に避妊手術も一緒に行いました。

チャチャちゃんはまだ小さいにも関わらず、手術を頑張ってくれました。術後は食欲・元気ともに問題なく過ごしてくれています。

うさぎさんの去勢手術

2019.07.29.18:54

こんにちは。獣医師の川合です。
今日はうさぎさんの去勢手術についてお話します


男の子のうさぎさんで、尿スプレーや攻撃的な性格、自分の毛をむしってしまうなどでお困りの飼い主さんはいらっしゃいませんか

これらの行動には性ホルモンが関係している可能性があります。

去勢手術を行うと、上記の行動が落ち着き(その子によって程度が異なりますが)、また精巣腫瘍の予防にもつながります。
繁殖相手がいないことによるストレスから解放され、性格が穏やかになる子が多いです。

もしうさぎさんの行動でお悩みの方は、一度健康診断を兼ねてお越しいただけたらと思います。
手術に関しては、1つ前のブログ「うさぎさんの避妊手術」で麻酔や入院についても記載しておりますので、ぜひそちらもご覧ください。

なおこちらは完全予約制となっておりますので、来院の際はお電話でご予約のほどお願いいたします



ウサギさんの避妊手術

2019.07.11.12:08

こんにちは獣医師の長尾です。

今日はウサギさんの避妊手術についてです。

最近は避妊手術の必要性に関して、飼い主様に徐々に浸透してきていると感じることが多くなってきております。

ワンちゃんネコちゃんでは普通にほとんどの子がしている避妊手術。
ウサギさんでもとっても大切です!
というのも、ウサギさんは子宮の病気がとても多く、10歳まで生きたらほとんどの女の子が子宮の病気になるとも言われています。
更に達が悪いのが、『腺癌』の発生率がとても高いことです。子宮腺癌は2歳くらいの若い子でも珍しくありません。

なぜそんなに子宮疾患が多いかというと、卵巣からのホルモンが関係しています。
ウサギさんはとても発情回数が多く、その間、子宮は常に性ホルモンの影響を受けます。そうすると異常な細胞も生まれやすくなるのです。性ホルモンの影響は子宮のみならず、乳腺にも影響するので、乳腺腫瘍の発生も多くなります。また、達が悪いことに、乳腺は『乳腺癌』の発生が多いのです。

腺癌を放置してしまうと、もちろん助かりません。。。
肺やお腹の中、骨などに転移をしてしまい、とても苦しくなってしまい亡くなってしまいます。

そういったことを防ぐために予防的な避妊手術がとても重要となってきます(乳腺癌は避妊手術で完全には防げませんが・・・)。
個人的にはワンちゃんやネコちゃんより、ウサギさんの避妊手術の方が重要と感じます。

病気になってからでは、すでに腺癌で転移している、状態が悪くて手術できないなどといったこともあります。

「うちの子は若くないけど避妊手術できますか?」といったご質問をよく受けます。
もちろん若い(1歳くらい)子での手術のほうが安心ですが、5歳でも7歳でも避妊手術はできます。
(避妊手術前には身体検査やレントゲン、血液検査をさせていただいております。)

当院は小動物の専門病院なので、ウサギさんの負担をできるだけ少なくするため、ウサギさんに適した吸入麻酔薬を使用しております。また、手術時間を可能な限り短縮して負担を減らすため、超音波手術装置といった特殊な医療機器を用いて手術しております。こちらは、超音波により卵巣や子宮の血管を処理する機器で短時間で出血はほとんどなく手術することが可能です。

また、ワンちゃんやネコちゃんのようなウサギさんのストレスになるペットさんはおりませんので、手術後の入院もストレスが少なくできます。(実はこれはとても大切でワンちゃんやネコちゃんの声やニオイのストレスで麻酔管理や術後も回復は全然違うと感じます)


手術のご予約は、お電話でも受けつけております。
手術のご相談に関しましては、一度診察のご予約をお取りいただき、ご来院していただく形となりますのでよろしくお願い致します。

男の子の去勢手術に関しましてはまた今度書きたいと思います。

theme : うさぎ
genre : ペット

プロフィール

ミニペットクリニック

Author:ミニペットクリニック
埼玉県川口市にあるエキゾチックアニマル専門の動物病院
“ミニペットクリニック”と申します。

ウサギさんはもちろん、ハリネズミさんや爬虫類さんも診察しております。
※対象外となる動物さんにつきましてはお問い合わせください。

ブログでは、日々の出来事や病院の情報、豆知識など、
病院スタッフが綴っていきますので、お暇なときに覗いてみてください^^
どうぞよろしくお願い致します!

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